琉球大学 第二内科(大学院医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座)および琉球大学 第二内科 同門会 公式ホームページ
リニューアルに寄せて
琉球大学医学部第二内科に着任致しましてから 早、8年9カ月が経過致しました。この期間、琉球大学 第二内科 同門会の諸先生方はもとより、琉球大学 大学院医学研究科、琉球大学医学部附属病院の皆様、沖縄県全域の医療関係者の皆様に大変良くして戴き、良き仕事仲間と健康に恵まれ、楽しみながら仕事をさせて戴きましたことを心より感謝申し上げております。
このたび、琉球大学 第二内科(大学院医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座)および 琉球大学 第二内科 同門会 の公式ホームページを刷新することになりましたので、御挨拶と現在の心境、所感を述べさせて戴きます。
第二内科 同門会の執行体制は、会長の田仲 秀明先生(田仲医院)、副会長の上江洌 良尚先生(うえず内科クリニック)、理事の新崎 修先生(豊見城中央病院 病院長)、比嘉 盛丈先生(豊見城中央病院 特命副病院長)、内原 潤之介先生(那覇市立病院)、監事の仲地 健先生(翔南病院 副病院長)、平良 直也先生(たいら内科クリニック)をはじめ、琉球大学 医学部一期生を中心とした世代交代が行われ、教室を一層、強力にバックアップして戴いております。第二内科 同門会の先生方が沖縄県内の各拠点病院の病院長、副病院長、内科部長を占め、沖縄県医師会や学術面においても指導的な御立場で大活躍されていることは教室にとって大変誇らしいことであり、教室員にとっても大きな励みとなっております。
現在、琉球大学 第二内科は内分泌代謝・血液・膠原病リウマチの3領域の診療と教育を担当し、8年9カ月の期間を経て将来性のある若手の人材が着実に育ってきております。着任時、スタッフの流出で診療が停止していた血液グループの再興に成功し、現在は13名を擁するチームに育ちました。グループリーダーの森島 聡子准教授、副リーダーの仲地 佐和子診療講師をはじめ、13名中、10名が女性医師で構成されているという点も私達が誇りとするところです。また、2018年4月からは北海道大学 第二内科(渥美 達也教授)、産業医科大学 第一内科(田中 良哉教授)のもとにそれぞれ国内留学させて戴いた土井 基嗣君、玉城 泰太郎君が帰学し、新たに膠原病リウマチグループを立ち上げてくれました。内分泌代謝グループでは診療の充実は もとより、研究のテコ入れのために岡崎 生理学研究所から岡本 士毅君(獣医学博士)を特命講師として招聘し、分野横断的で独創的な研究を進めております。内分泌代謝・血液・膠原病リウマチの3分野は“臓器別医療”の対極にある“システム医療”を共通のプラットフォームとしており、周辺分野の進歩やアプローチを意欲的に取り込むことによって、臓器別で細分化された内科学教室では決して出来ないようなユニークな研究や臨床が構築できると確信しております。着任後、6年半にわたって教室の代謝分野の研究、特に、玄米機能成分の研究を精力的にリードしてくれた小塚 智沙代 博士はハーバード大学ジョスリン糖尿病センターにおける2年間の留学を経て本年の秋からは理化学研究所にて先進的なエピゲノム研究を深めていく予定です。また、先ほどの土井 基嗣君(北海道大学)、玉城 泰太郎君(産業医科大学)に加え、現在、内分泌代謝グループの吉村 蘭先生が東京女子医科大学 糖尿病センター(馬場園 哲也教授)に国内留学中です。さらに、2016年からは博士課程 大学院生として初の海外留学生、Jasmine Millman さん(栄養学、オーストラリア メルボルン、デイーキン大学)を迎え、腸内フローラ研究を進めています。
教室では内閣府・農林水産省の国家プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)や経済産業省のNEDO, 科学技術推進機構(JST)などの省庁型大型研究グラントや沖縄県の補助による知的クラスター・産業クラスター推進事業、再生医療事業、先端医療実用化推進事業などの大型研究資金を活用し、特に、肥満症や生活習慣病に関わる脳科学や行動科学、分子栄養学、腫瘍学(血液悪性腫瘍)、腫瘍代謝学(Metabolic Oncology)の分野で、独創的で特色のある研究を進めております。一連の研究成果はインパクト・ファクターの高い国際学術誌に掲載(紹介)されており(Nature, Diabetes, Diabetologia, Blood, Cell Reports, Endocrinology, British Journal of Pharmacology, Drug Delivery, Diabetes Care など)、着任以降の教室の研究によって新たに取得した特許は計5件、商標登録も1件、取得出来ました。さらに、2017年12月からは、医療への応用が凄まじい勢いで加速しているIoT(モノとモノをつなぐインターネット), ICT(通信情報技術), AI(人工知能)の総合的な医療応用を目指す大型研究プロジェクト“久米島デジタルヘルスプロジェクト”(内閣府)の中核メンバーとして参画し、琉球大学医学部が進める壮大な事業の内科部門の研究を第二内科が担当しています。このプロジェクトの推進のために、教室から内分泌代謝グループの山城 清人君、上原 盛幸君の2名が公立久米島病院に出向させて戴いており、地域医療への貢献と地域密着型先進臨床研究を両立させるという、まったく新しい取り組みに意欲的に参画してくれています。
着任からの8年9カ月、とにかく、凄まじく忙しく、その忙しさも年々、程度が高まってまいりましたが(年間の航空機搭乗回数120回、講演70回)、御蔭様で、日々の臨床・教育・研究は とてもエキサイティングで、仕事は楽しくて仕方ありません。良い仕事仲間に恵まれ、面白い研究テーマに巡り逢い、大変幸せに思っております。
汎用型人工知能が医療分野に津波のように押し寄せつつある今、人工知能に負けない医療人をいかに育成するか、が大きなポイントになっています。検索で情報は得られても、ノウハウ自体は出てきません。自分の力で なりたい自分をイメージ出来る医療人、0から1を生み出すことが出来る医療人、生涯活躍力を持って輝き続け、働き続ける健康長寿を体現できる医療人、これらが、第二内科が育成していくべき人材と考えております。琉球大学 第二内科 同門会の諸先生方、琉球大学 大学院医学研究科、琉球大学医学部附属病院の皆様、沖縄県全域の医療関係者の皆様におかれましては、琉球大学 第二内科の最近の歩みを知って戴き、今後とも変わらぬ御指導・御支援を賜りますよう、何卒宜しく御願い申し上げます。
末筆ながら、教室の膨大な量の秘書業務を献身的に支えて下さっている野口 千佳子さん、平田 真美子さん、安里 郁子さん、兼城 星乃さん、上間 つぐみさん、下地 真澄さん、研究チームのサポートで大活躍して下さっている池松 智子さん、村山 裕子さん、野村 育美さん、堀口 千枝さん、医学部附属病院 病棟(9階西病棟)歴代の素晴らしい看護師長さん(多和田久美子さん、糸数ちえみさん、源河里美さん)に深い感謝の意を表します。
2018年10月
琉球大学 大学院医学研究科
内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科)
教授 益崎 裕章